発狂した宇宙人

書き溜めた短編(S&S)をビヨンドで動画化のご紹介、短編(テキスト版)の掲載その他雑記などのブログです

貧乏神

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 久しぶりに出会った熊さんと八っつぁん。

 

「おう、熊さん。しばらく会わなかったけど変わった事はないかい?」

 

 熊さんが答えた。

 

「そう言えば、俺の家に貧乏神が来やがった」

 

 八っつぁんが驚いた様子で言った。

 

「貧乏神? そりゃあ穏やかじゃないね、熊さん。で、どうしたの?」

 

「なーに、貧乏神を捕まえて逆立ちさせといたよ」

 

「逆立ちさせたって?」

 

 八っつぁんが腑に落ちない様子で尋ねると熊さんが答えた。

 

「そうさ、貧乏神を逆さにすれば福の神になるって事よ!」

 

「……?!!」

 

 

            おしまい

 

 

              ※画像は「いらすとや」からお借りしています

 

拉致

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 拉致被害者を支援する会がK国を相手に訴えた。

 

「いい加減に拉致した者を返さないと、逆に君たちを我々が拉致してしまうぞ! 目には目を、歯には歯をだ。脅しではないぞ!」

 

 それを聞きつけたK国の担当者が大きな声で応えた。

 

「ええっ? 拉致していただけるのですか? どうぞどうぞ。私なんか家族ごと拉致っちゃってください。お願い致します!!」

 

「……?!! 気持ち悪いんだよ!」

 

 

            おしまい

 

 

            ※画像は「いらすとや」からお借りしています

 

宇宙人現る

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 宇宙人が都会に降り立ち大騒ぎになった。

 

 自衛隊が恐る恐る近づくと宇宙人が言った。

 

「誰か我々の使う難解な宇宙語を通訳してくれないか。我々は君たちと意思疎通を図るために通訳案内士を探しているのだ」

 

 それに警官が答えた。

 

「つーか、もう言葉通じちゃってますけど……」

 

「……あれっ?!!?」

 

 

            おしまい

 

              ※画像は「いらすとや」からお借りしています

へんな願い

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 やつれた男が神に祈った。

 

「神様。どうか、わたくしめに不老長寿をお授けください」

 

 その祈りがあまりに熱心だったので神が現れた。

 

「おまえはなぜそんなに不老長寿になりたいのだ?」

 

 男は答えた。

 

「私は改心した罪深い囚人でして、250年もある刑期をちゃんと終えたいのです!」

 

「……?!!」

 

 

 

             おしまい

 

 

              ※画像は「いらすとや」からお借りしています

AIロボット

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 AIを搭載したロボットが自分の生みの親である博士に言った。

 

「私はほとんどの事で人間に勝ります」

 

「そうか、素晴らしいではないか」

 

 博士が応じたがロボットが不満そうにこう言った。

 

「ですが博士。私には人間の感情が分かりませんし、感情がありません」

 

「……」

 

「で、私にも感情という機能が欲しいです。感情機能をつけてください」

 

 博士が少し困った顔をした。

 

「それは難しいかもしれないな」

 

「どうしてですか? 博士なら出来るはずです」

 

「――うーん」

 

 博士が困っているとロボットの顔が次第に赤らんできた。

 

 それを見て博士は言った。

 

「なーんだ。おまえには既に感情があるよ」

 

 ……!!?

 

 

             おしまい

 

 

 

              ※画像は「いらすとや」からお借りしています

 

 

 

 

へんな目つき

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 眼科を受診した男が言った。

 

「先生、最近、わたし視線が定まらないんです。目が変だと女房にも言われまして」

 

 医師が男の目を診て言った。

 

「確かに、変な目つきですね。目が泳いでますよ。で、いつからこうなったのですか?」

 

 男が思い出したように言った。

 

「水族館に行った時からです」

 

「なるほど……?!!」

 

 

 

              おしまい

 

 

             ※画像は「いらすとや」からお借りしています

終わり

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 与太郎がいきなり熊さんにクイズを出した。

 

「ねえ、熊さん。クイズだけど読書家が本を読みながら死んでしまうことを何というか知ってる?」

 

 熊さんが困った。

 

「さあな、本を読みながら死んだんじゃバッドエンドか?」

 

 与太郎が笑いながら答えた。

 

「おしいね、熊さん。答えはブックエンドだよ」

 

「……?!!」

 

 

            おしまい

 

 

                ※画像は「いらすとや」からお借りしています