発狂した宇宙人

書き溜めた短編(S&S)をビヨンドで動画化のご紹介、短編(テキスト版)の掲載その他雑記などのブログです

面会

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 暗い顔をした不気味な男が死刑囚に面会を求めてきた。

 

 刑務所の事務官がその男の名を知ってあわてて面会謝絶にした。

 

 それを不服に思った囚人が事務官に噛みついた。

 

「なんで、面会謝絶にするんですか? 不法だ。俺は面会拒否していないぞ」

 

 事務官が焦って答えた。

 

「だっておまえ、おまえの死刑はまだ未定なんだ。それなのに死神に面会なんてさせられるものか!!」

 

「……?!!」

 

 

 

            おしまい

 

 

             ※画像は「いらすとや」からお借りしています

証拠

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「とぼけたって駄目だぞ、ここに動かぬ証拠というものがあるんだ!」

 

 検察官が殺人罪の被告にそう言った。

 

 被告は不安げな顔だ。そのとき弁護人が叫んだ。

 

異議あり!」

 

 弁護人が立ち上がって続けた。

 

「裁判長、動かぬ証拠がどうしてここに持ってこられるのでしょうか?」

 

「はあっ?……?!!!」

 

 

 

           おしまい

 

 

              ※画像は「いらすとや」からお借りしています

 

 

死因

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 男が恨みがましい顔をして言った。

 

「僕の父は医者に殺されたんだ。悔しいよ」

 

 その言葉を聞いて男の彼女が慰めるように言った。

 

「お父さんは気の毒だけど、そんな言い方は良くないよ。医者のせいにばかりしてもいけないんじゃない」

 

 男がムッとして答えた。

 

「違うんだ。僕の父は医者の運転する車に轢き殺されたんだよ!」

 

「まあ、……!!!」

 

 

              おしまい

 

 

             ※画像は「いらすとや」からお借りしています

 

 

 

ランプ

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 ある男が魔法のランプを見つけた。それをこすると魔人が現れて言った。

「おまえの願いを一つ叶えてやろう!」

 男は夢みたいだったが大喜びした。だが魔人は規約書を取り出してこう言った。

 「願いを叶えてから、揉めないように魔人ランプ規約書を読んでもらう」

  その規約書は百科事典みたいに厚かった。魔人はそれの全てに目を通してから最後にサインしろと言うのだ。

  男はそれを読み始めたが、あまりの長さにこう言った。

 「この規約書をもっと短くできませんか。長すぎて読み切れません」

 「わかった」と魔人が言った。

 

 「あっ!!!」

 

                おしまい

 

 

             ※画像は「いらすとや」からお借りしています

分かれ道

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 死んであの世に召された男の前に神が現れて言った。

 

「あなたの生前の行いが正しければ天国へ、もし悪しき行いをしたならば地獄に行かなければなりません」

 

 しかし男は煮え切らない態度だ。神が困っていると男が言った。

 

「さあ、どっちでしょうか? 自分でもわかりません。ちなみに私は生前ジキルとハイドと呼ばれていました」

 

「……?!!」

 

 

             おしまい

 

 

             ※画像は「いらすとや」からお借りしています

 

変異

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 ある時、恐ろしいウイルスが世界中に蔓延した。

 

 被害者がでたがワクチンの開発によりそのウイルスの増殖は抑えられた。

 

 人々がほっとしたのも束の間、ウイルスは案の定、変異した。

 

 変異したウイルスにはワクチンが効かなかった。だが科学者達は新しいワクチンを作って変異ウイルスを制圧した。

 

 だが、またウイルスが変異した。

 

 この鼬ごっこはいつまでも続き終わることがなかった。そして最後に人間はどんな変異ウイルスにも効くワクチンを作り上げた.

 

 人類の勝利かと思われたがウイルスは究極の変異を遂げた。

 

 ウイルスは狂ったのかワクチンに変異したのだ。そして今度はワクチンが人を殺し始めた。

 

 ……?!!

 

 

              おしまい

 

 

              ※画像は「いらすとや」からお借りしています

 

ギター

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 指を骨折してしまった患者が悲痛な顔で医師に質問した。

 

「先生、僕にまたギターの名演奏が出来るでしょうか?」

 

 医師が微笑んで答えた。

 

「出来ますよ。太鼓判を押しますよ」

 

「なぜ、そう言い切れるのです?」

 

 そう言う患者に驚いた顔で医師が答えた。

 

「落ち着いてください。大抵のギターというものは足の指では弾かないでしょ?」

 

 ……?!!

 

 

 

              おしまい

 

 

 

              ※画像は「いらすとや」からお借りしています