ダークサイドファンタジー
★少年の秘密
夕焼けが綺麗だった。山道から林を抜けると渓流があった。
岸辺に小さな男の子が佇んでいた。近づくとしくしくと泣いている。
「どうしたの?」と私が問いかけると
「僕、おへそが無いんだ」と答えた。
目が大きくて、つるつるした頬をしていた。
驚いて名を問うと「僕は桃太郎なんだ」と男の子が答えた。
★独楽(こま)
道で赤いチャイナ服を着た女の子に会った。
木で出来た独楽(こま)を回して遊んでいる。
面白そうなので暫らく眺めていたが独楽は止まらない。
「すごい独楽だね」
と私が話しかけると女の子が微笑んだ。
「この独楽はずっと止まらないの」
女の子が言った。
「うそっ。いつかは止まるでしょ」
私が言うと女の子が独楽を手に取った。
独楽を割ると中に小さな地球が納まっていた。
「これは止まらない独楽なの。秘密よ」
女の子の瞳に小さな地球が映っていた……。
★ミラー
私は不思議な男の子と会った。鏡とじゃんけんしている。
私は声をかけた。
「ねえ、君。鏡とじゃんけんをしたってずっとあいこだろ」
すると男の子が私を振り返って答えた。
「僕はじゃんけんでいつも鏡に負けるんだ」
「うそっ」
そう言ったが急に鏡とじゃんけんするのが怖くなった。
おしまい
※画像はO-DANからお借りしています