一寸の恐怖笑 第六話
★「紐親父」
――変な
青白い顔をした親父があるととき国立病院にやってきて頭痛を訴えた。さっそく医師が懸命に診察したがどうにも原因がわからない。
しかたなく頭痛薬を与えたが親父の頭痛はより酷くなってその場に倒れてしまった。
即入院という事になったのだが、暫らくして病室で親父が看護師に、頭が妙に痒いと訴えるので看護師が親父の頭を良く診るとなんと旋毛のあたりから、細い紐が一本飛び出しているのを発見した。
なんとなくその紐を引くと、親父はうっとりして気持ちがいいというので、つい紐を引っ張った。
するとその紐は面白いように引っ張れるので、看護師が我を忘れどんどん引っ張ると、ついに病室に大きな紐の山が出来て、親父の姿は消え失せていた。
おしまい
※画像はO-DANからお借りしています