ホラーハウス
大きな見世物小屋があった。恐ろしい感じの洋館風の屋敷だ。そのなかでモンスター達がひそひそ話をしていた。
「やい、金星人。いい隠れ家を見つけやがったなあ」
赤い顔にイボイボのある火星人が言った。
「おう、火星人。ここじゃお前を見たって誰も本物とは思わないものな」
三角頭の金星人が答えた。
「しかし、人間どもも、もう少し俺たちを怖がってもいいんじゃないか」
「そうだなあ、試しに子供ひとり食べちゃおうか?」
火星人がニヤリと笑った。
「ばか! ニュースにでもなったら俺らはここに居られないぞ」
頭に輪っかのある土星人が答えた。
そこに客の人間が入ってきた。その人間は火星人を見て
「うあわーっ!!」
と叫んだ。しかしそれは恐怖の叫びではなく、驚きの叫びであった。
「おまえ、火星人じゃないか! なんでここに居るの?」
「お前こそ誰だ! あっ、おまえ人間じゃないな」
その人間は首を取り外しながら言った。
「俺はバルルータン星人だよ」
「……? そうか、でもおまえ、うまく化けたな」
金星人もびっくり。
「我々は人間に化けて大勢で地球に来てるんだ」
「うまいことやってやがる」
土星人が言った。不気味な見世物小屋の看板に『ホラーの館、モンスターハウス』と書いてあった。
おしまい
※画像はO-DANからお借りしています