発狂した宇宙人

書き溜めた短編(S&S)をビヨンドで動画化のご紹介、短編(テキスト版)の掲載その他雑記などのブログです

ホラーハウス

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 大きな見世物小屋があった。恐ろしい感じの洋館風の屋敷だ。そのなかでモンスター達がひそひそ話をしていた。

「やい、金星人。いい隠れ家を見つけやがったなあ」

 赤い顔にイボイボのある火星人が言った。

「おう、火星人。ここじゃお前を見たって誰も本物とは思わないものな」

 三角頭の金星人が答えた。

「しかし、人間どもも、もう少し俺たちを怖がってもいいんじゃないか」

「そうだなあ、試しに子供ひとり食べちゃおうか?」

 火星人がニヤリと笑った。

「ばか! ニュースにでもなったら俺らはここに居られないぞ」

 頭に輪っかのある土星人が答えた。

 そこに客の人間が入ってきた。その人間は火星人を見て

「うあわーっ!!」

 と叫んだ。しかしそれは恐怖の叫びではなく、驚きの叫びであった。

「おまえ、火星人じゃないか! なんでここに居るの?」

「お前こそ誰だ! あっ、おまえ人間じゃないな」

 その人間は首を取り外しながら言った。

「俺はバルルータン星人だよ」

「……? そうか、でもおまえ、うまく化けたな」

 金星人もびっくり。

「我々は人間に化けて大勢で地球に来てるんだ」

「うまいことやってやがる」

 土星人が言った。不気味な見世物小屋の看板に『ホラーの館、モンスターハウス』と書いてあった。

 

 

               おしまい

 

 

                   ※画像はO-DANからお借りしています