不気味な星
長い航海の果て、宇宙船がその星についたとき、期待した宇宙人に会えなかった。だから大方の関係者や科学者はがっかりした。というのも、その星はこれまで様々な観測がなされ、生命の存在は確定的だった。
原始的なアメーバ等の生育は確認できているし、昆虫に似た生物も多種多様に進化している。
となれば知的な生命がいるに違いないと、科学メンバーや研究者が予想していた。しかし、乗組員を迎えたのは広い荒野や、草原だけだった。
意気消沈して帰り支度を始めた隊員たちだったが、メンバーの一人がこんなことを言い出した。
「どう考えてもおかしい……。 もしかして、宇宙人は人見知りでどこかに隠れているのじゃないかな?」
「そんなばかな」
メンバーは相手にしなかっが、後で宇宙船着陸時の映像を入念に調べてみて、みな鳥肌を立たせた。
彼らは隊員の背後に常にいたのだ。
人間によく似た痩身な彼らはまるで守護霊のように隊員たちの真後ろにいて、ずっと様子を伺っていたのである。それにしてもなぜ周りがそれに気が付かなかったか不明で、隊員たちは恐怖を隠せないでいる。
「気味が悪い、たとえ命令でも二度とあの星には行きたくありません」
と隊員達は口を揃えているという――。
おしまい
※画像はO-DANからお借りしています