溶かす
何でも溶かしてしまうという液体を発明した高名な博士が、なんだか頭を抱えて悩んでいる。そこに現れたのがテレビレポーターの青年だ。青年が質問する。
「どうしました? 何をそんなにお悩みなのですか。世紀の大発明をなさったというのに?」
「いやね、液体をつくったのはいいが、その液体を入れる容器がないんだよ」
「なるほど。で、その液体はいったいどうしたのです?」
「すべてを溶かしながら今地球の中心部に向かっているところじゃ」
「それは困りましたね。それで、これからどうします博士?」
「わしはもう一つ発明をしなきゃなるまい」
「どんな?」
「決まっている。絶対に溶けない物質の発明じゃよ」
「――なるほど。なるほど」
おしまい
※画像はO-DANからお借りしています