雪男
険しいアルプスに一人の雪男が住んでいました。性質はいたって温順です。
彼は色々な話を考え、仲間達に面白おかしく話して聞かせるのが趣味でした。
そう。彼は今でいうショート&ショートの名人なのでした。
極寒のアルプスでは特にやる事もなく、いつも退屈なので仲間たちに気の利いたオチのある物語をつくって聞かせるのが彼の日課でした。
仲間たちも彼のつくるショート&ショートを聞くのが楽しみでした。
きょうも彼、雪男はアイデアを求め雪道を歩いていました。
しかしきょうに限って物語の前半は出来たのですが、最後のオチがどうしても思いつきません。
とうとうネタが尽きてしまったのでしょうか……?
その雪男、悩みながら雪道を歩いていました。と、足が滑って氷の割れ目に落ちてしまいました。
どうやら、これって違った意味でのオチでしょうか?
そしてその行(ゆ)き男。決して ~帰らない男~ になったという事です。
おしまい
※画像は「いらすとや」からお借りしています