発狂した宇宙人

書き溜めた短編(S&S)をビヨンドで動画化のご紹介、短編(テキスト版)の掲載その他雑記などのブログです

悩み

 

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 「熊さん。突然だけど変な質問していい?」

 

「なんだい、与太郎、どうかしたかい?」

 

「熊さんに悩みはある?」

 

「ええっ? まあ、ない事もねえな」

 

「そうか、そりゃ良かったね」

 

「別によかないだろう」

 

「おいら悩みが特にないんだけど……」

 

「お前は幸せ者だよ。与太郎

 

「……」

 

「あっ、おいらにも悩みがあった!」

 

「どんな悩みだ与太郎?」

 

「悩みがない悩みだよ」

 

「……?!」

 

 

            おしまい

 

 

             ※画像は「いらすとや」からお借りしています

 

麻酔

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 外科医が神妙な顔で患者に言った。

 

「これから手術をするので麻酔を使いますが、二種類の麻酔があります。一つは手術中痛みを伴いますが術後には殆ど痛みを感じなくなります。もう一つは手術中まったく痛みを感じないのですが、手術後かなりの痛みを感じます。どちらがよろしいでしょう?」

 

 患者が少し考えて答えた。

 

「それじゃあ先生、手術後百年ぐらい経ってから凄い痛みを感じる麻酔にしてください!」

 

「……?! うーん」

 

 

              おしまい

 

 

               ※画像は「いらすとや」からお借りしています

葬儀にて

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 おじさんの葬儀に参列した熊さんが考え深げに言った。

 

「いやあ、おじさん逝ってしまったんだね。しかし人の命は儚いねえ」

 

 そこに口をはさんだのが与太郎だ。

 

「熊さん、おじさん可哀想だね。墓がないの?」

 

与太郎、墓はあるよ!」

 

 ……?!

 

 

 

              おしまい

 

 

               ※画像は「いらすとや」からお借りしています

 

 

 

 

良い知らせと悪い知らせ パートⅡ

f:id:Space2020:20210423182312p:plain                   

 看守が殺人罪で服役中の囚人に言った。

 

「おまえが撃ち殺したはずの男が、奇跡的に息を吹き返したらしいぞ!」

 

 そう言われた囚人が驚いて声を上げた

 

「ええっ! あいつ死んでいなかったのか? そうなのか、まあいいや。俺の罪も少し免除されるだろうな、殺人じゃなくなったんだから」

 

 看守が変な笑い方をしながら言った。

 

「喜ぶのは早いぞ。おまえ甘いよ」

 

「どうしてだ?」

 

「実は生き返った男がお前に復讐したいと言うんだ。それで大金を払って殺し屋を看守に化けさせたという寸法さ」

 

「……ま、まさか!!!」

 

 

 

                おしまい

 

 

               ※画像は「いらすとや」からお借りしています

守護霊

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 熊さんの前にふらりと現れた八っつぁん。

 

「どうしたの? 八っつぁん。なんだか浮かない顔だね」

 

「それがよお、熊さん。俺、評判の霊能者に守護霊を霊視してもらったんだけどさ」

 

「ああ、今評判の守護霊が見えるっていう霊能者の先生か」

 

「そうだよ」

 

「ほう…。で、八っつぁん。あんたの守護霊は何だったの?」

 

「弁財天が俺の守護霊なんだってさ」

 

「そりゃ、良かったじゃないの。弁財天なら財に恵まれるんじゃねえのか?」

 

「ああ、それはいいんだけど、その弁財天についてる守護霊が超貧乏神なんだってさ」

 

「へえ、……?!」

 

 

               おしまい

 

 

 

                ※画像は「いらすとや」からお借りしています

 

 

職業病

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 グレーの制服の男が上司に向かって言った。

 

「最近、気分が沈みがちで仕事に力が入らないんです。どうしたら良いのでしょう?」

 

 上司が答えた。

 

「それは君、職業病だろうな」

 

「職業病?」

 

「そうだ。潜水艦の乗組員は体も心もいつも沈みがちなんだよ」

 

「……?! んな!」

 

 

 

                おしまい

 

       

                ※画像は「いらすとや」からお借りしています

 

領空侵犯

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 ある時、隣国の戦闘機が我が国の空域を侵犯した。

 

 事件だ。早速、航空無線により警告が発せられた。

 

「警告します! すみやかに空域から出なさい。繰り返します、すみやかに我が国の空域から出て行ってください」

 

 返事が返ってきた。

 

「領空侵犯する気はありません。不可抗力なのです。突然エンジンが故障し、操縦不能で今、機は墜落しているところなのです」

 

「そうですか。ならいいです」

 

 ……?!!

 

 

 

             おしまい

 

 

                 ※画像は「いらすとや」からお借りしています