発狂した宇宙人

書き溜めた短編(S&S)をビヨンドで動画化のご紹介、短編(テキスト版)の掲載その他雑記などのブログです

2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

世界の終わり

「ねえ、田中さん。さっき世界は始まったばかりなのに、もうすぐ世界も終わりですね」 「ええ、そのようですね。残念ですが山田さん」 「で、何とかできないものですかね。田中さん」 「いや無理でしょうね。山田さん」 「短い間でしたが、私たちが存在出来…

エデンの園

エデンの園でアダムは、大勢の美女に囲まれご満悦である。 それを見たイブが、かんかんに怒って言った。 「アダム、何してるの。どういう気なのよ。この女たらし、もう絶交よ!」 アダムがむっとして答えた 「僕の肋骨だ。僕がどう使おうと自由じゃないか!…

幽霊写真

夜である。高田馬場にある居酒屋に大学生が五人いる。その中のユイと言う女子は、霊体質でかなり怖い体験を色々経験してきたらしい。だから飲み会ではいつもユイの不思議な体験談で盛り上がる。 「この前、って言っても、もう何年も前だけどさあ」 話し出し…

幽霊たちのララバイ 三.

★その三 ――月夜である。 男の幽霊が薄暗い路地で佇んでいる。そこに別の幽霊が通りかかった。 「あれっ? どうしたこんなところでぼんやりしちゃって」 「はあ……」 「はあじゃないよ。みんなは今夜はいい幽霊日和だと言って、はりきって化けて出てるよ。あん…

幽霊たちのララバイ ニ.

★その二 「ご臨終です」 医師は静かに家族にそう告げ、ベッドの老人は眠るように安らかに息を引き取った。今生の別れである。 「ちぇっ!」 誰かが舌打ちした。しかしその声は遺族には聞こえない。なぜなら舌打ちの主は老人の先祖の幽霊達であるから……。 「…

幽霊たちのララバイ 一.

★その一 橋を渡り柳の下を通りかかると、生暖かい風が着物の女の襟元に吹きつけた。なんだか重苦しい空気を感じる。彼女が幾分早足になり、柳の下を一気に通り抜けようとした瞬間、それはいきなり現れた。 髪を振り乱し、青白い陰気な顔に白装束という出で立…

世界びっくり疑?・事録スペシャル 三.

★フェルミのパラドックス解決 この度、米政府は宇宙人の存在をノルウェー科学チームが公式に発表していた事を明らかにした。 この驚くべきニュースは各国の有識者を驚嘆させたのは言うまでもないが、総合科学ジャーナル誌Natureネイチャーに掲載された詳細を…

世界びっくり疑?・事録スペシャル ニ.

★謎の古代文字 イースター島(現地名はラパヌイ)はモアイ像と独自の文字体系を持ったロンゴロンゴ文字で知られている。 それらは宇宙からの訪問者が残していったものであるなど、常軌を逸した様々な仮説を提供し続けていたが、ある時二人の日本人の手によっ…

世界びっくり疑?・事録スペシャル 一.

――信頼できかねるスポークスマンの伝えるところによる ★時効の壁 政府による法改正の発表 ――この度、新体制のリーダーであるJ・B氏に祝電を送ったS総理は、前々から用意していたある改革に乗り出した。 その内容とは我が国に於いて死刑を除く諸犯罪に、時効…

ブラックミラー

ネットフリックスで面白いの見つけた。 Netflix(ネットフリックス)は、世界最大級の定額制動画ストリーミングサービスですが、その中で面白いのがあるのでご紹介です。但しこれは個人的な主観ですからその辺はよろしく。 ●ブラックミラー 2011年から放送さ…

インセンティブ・ムービー

最近めっきり、面白いテレビが減りました。ドラマもマンネリだし、バラエティも阿保らしいし、テレビを録画までして観ようとする番組がないのです。 昔はテレビが観たくて早く会社から帰ったこともあったくらいなのに、今は何を観てもつまらない。ネットもイ…

アイドルの秘密

江戸川乱歩の作品で屋根裏の散歩者と言うのがある。だいぶ前に面白おかしく読んだものだが、少しばかりそれに似た状況に俺は置かれた。 どういう事かというと隣の部屋に飛び切り可愛い女子がいて、俺はその女子の部屋を覗くことが出来る。こう書き進めていく…

読心術

★読心術 この能力を持っていたのは優秀な岡田という刑事だった。彼は幼い頃から相手の心を読む事が出来た。最初は相手の心をずばり言い当てて薄気味悪がられていたが、彼が成長すると共にその能力はカモフラージュされ、不用意に語られる事はほとんどなくな…

分身

★分身 この能力に恵まれたのは若き報道記者だった。報道関係の仕事はあまりにも忙しく、極度の煩雑さが彼にこの能力を獲得させたものと思われる。 体がもっと欲しい……。と彼の切なる願いが天に通じたのか或いは彼がそういうDNAを最初から持っていたのか、…

不死身

★不死身 長年の日常生活の楽しみを犠牲にして博士はついに不死身の薬を作りあげた。この薬の効能が人類に計り知れない恩恵をもたらすのは間違いのないところだろう。 早速博士は実験を始めた。まずは原始的に腹にナイフを突き刺してみたが、血は一滴も出ずナ…

宇宙からの通信

ある時、宇宙からの通信を高原にある巨大な電波望遠鏡群がキャッチした。 その信号には規則性があり意図的なものである可能性が高くなり、世界が動揺した。もしそれがその通りなら、ついに……。 そしてその信号は最新鋭のSコンピュータによって解析され、宇…

ニアミス

――ある時、アタカマ砂漠の標高約五千メートルの高地に建設された巨大な電波望遠鏡の群が宇宙からの電波を受信した。 それは極めて人工的な規則的な波形を描いていて、銀河の果ての小惑星から送られてきたものだった。 即時専門家の解析が開始され、あらゆる…

調査

――あるとき遥か宇宙から宇宙船が地球に偵察にやって来た。 目的は何かというと、地球の生物が宇宙連邦の脅威になるかという調査の為だ。もちろん現時点の話ではなく、将来での話である。 もし地球の知的生命が将来宇宙の秩序を乱したり、戦争を引き起こし兼…

ダークサイドファンタジー

★少年の秘密 夕焼けが綺麗だった。山道から林を抜けると渓流があった。 岸辺に小さな男の子が佇んでいた。近づくとしくしくと泣いている。 「どうしたの?」と私が問いかけると 「僕、おへそが無いんだ」と答えた。 目が大きくて、つるつるした頬をしていた…

やっぱり病院

N氏は最近、不眠症に悩んでいた。疲れてはいるのにどうしても眠れない。 仕方なしに病院に行くことにした。 ところが病院は凄い混雑。 待てど暮らせどN氏の番が来ない……。 * * 「あのう、N様 さっきからお呼びしてるんですが」 可愛い看護師に呼ばれるN氏…

究極の宇宙テスト

――ある晴れた日の午後だった。 空から大きな声がこだましてきた。それは万人に聞こえるような、張りのある心の底まで響くような声だった。 声は様々な国の人々にそれぞれの母国語となってダイレクトに伝わってきた。 「地球人の諸君、我々は宇宙生命体である…

進化したそれ

生物の進化を加速度的に速める装置を発明した博士がいた。それは画期的な発明と言えたが、博士はそれを世間に公表しなかった。 装置は大きな円筒形で正面にドアがあり、中に円形テーブルが設置されていた。テーブル上に実験対象を置き、それに特殊光線を当て…

長電話

「もしもし……。うん。それで……。えっ!うっそーっ。――やだーっ」 ――その少女は部屋のソファの上で携帯で話していた。 クリッとした目をした好奇心旺盛そうな女子だ。 彼女は横になったまま何度も合図地を打って笑顔になったり、時折悲しそうな顔になったり、…

小次郎の失敗

時は江戸時代。相模の国に宮本小次郎という、どこかで聞いたことがあるような無いような名の悪者がいた。 小次郎は盗人、追剥の類(たぐい)で行商人やら、町人やらから金を奪い取っていた。 しかし彼の顔を誰一人として見たものはなかった。なぜなら小次郎…

スナイパー

高層ビルの屋上からターゲットに照準を合わせた俺は、何のためらいも感じないまま銃の引き金を引こうとしていた。 暗殺者は常に冷徹で無慈悲でなければならない。 己の私情など微塵たりとも交えてはならないし、自分自身が鋼鉄の精密機器にならなければなら…

猫好き

「なあ美香、俺さあ、この頃、猫のナナの言葉が解りかけてきたよ」 「うそでしょ!」 「いや、ほんと」 ナナがツトムに、すり寄ってきた。 「ミャーオ、ミャーオ-、ミャーオ~」 「美香、今なんて言ったか解った?」 「さあね、ただ鳴いただけでしょ!」 「…

ミケランジェロの空

ミケランジェロというのは猫の名である。中二の祐二が単に毛が三毛だったので、思いつきでつけた呼びづらい名前だ。 だから、祐二はミケランジェロなんて猫を呼んだためしがなく、大抵はミケと呼んでいる。だからこの芸術的な名前もほとんど意味をなさない。…

公園にて

美奈が俺の目をじっと見つめて言った。 「わたし…… 隠していてごめんなさい」 美奈の奴、いきなり告るのかと思って俺の心臓がドキンとした。なぜって俺は女にもてる性質(たち)だから。 季節は秋。枯葉の落ちる公園のベンチに俺たちは二人では座っていた。 …

へんな長寿

「私は長年、不老不死の探求をしてまいりましたが、この度ついにそれに近いものを完成いたしました」 額の広い聡明そうな博士が意気揚々とそう言った。 「それに近いと言いますと、どういうことでしょう博士?」 研究発表のホール会場に詰めかけた大勢の記者…

橋の上で

その青年は思いつめた表情をして橋の上に立っていた。峡谷にかかる鉄橋の下は足が竦むほどの眺めである。青年はひどく落ち込んだ様子で橋の欄干に足をかけた。 ちょうどそこに分別のありそうな老人が通りかかった。まるで水戸黄門のような風貌。 「お若いの…