発狂した宇宙人

書き溜めた短編(S&S)をビヨンドで動画化のご紹介、短編(テキスト版)の掲載その他雑記などのブログです

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

夢の中の記憶 2

第二日目の記憶 「田辺さん。やっと会えましたね。職は転々とされるし住所だって何度も変えられた」 夢の中で馴れ馴れしく太田青年がそう言った。若い割には落ち着いた声だが、ややトーンが高い若者特有の声質だ。二十歳前後だろう。白いワイシャツとジーン…

夢の中の記憶 1

何かが頭の中で透けて見える。それは遠くて近い夢のようだった。それにしてもなんと妙な思考体験だろう。私は無意識界に自分でも知らない記憶を持っていた。 第一日目の記憶 ある朝目覚めると、軽い頭痛がして意識がぼやけていた。喉が渇いて冷蔵庫のコーラ…

へんな誘拐

相田氏の家の電話がけたたましく鳴った。 でっぷりとしたお腹と、白髪交じりの相田氏。 不承不承に電話に出れば、受話器のむこうの誰かが衝撃的なこと言う。 「相田さん。あんたの可愛い小学生のお嬢ちゃんは、下校途中この俺がうまく騙して誘拐した」 絶句…

鼠の国

あるところに鼠の国があった。いつ、どの時代にそんなものがあったのか詳しく話はきないが、この世界とは次元が違う世界だとひとまず考えてほしい。そこは人間には想像もつかない世界で、その国の鼠は濃いグレーの毛を持つ鼠と、白い毛の鼠とに別れ、双方と…

夢の人

そこは大きく眺めのいい丘の上の公園だった。公園の中央には天馬の噴水があった。しっとりとした緑の芝生が敷き詰められ、その噴水を中心に路が四方に広がっていた。その路の両端には洒落たベンチが設置してあった。 カップルの為に作られたような公園だった…

能力

「時よ、止まれ!!」 彼がそう唱えると、時間は見事に静止した。まるでビデオの静止画のように。 この能力はもう神通力とでも呼べるものだった。都合にいいことに時間が止まっても彼自身は止まらなかった。彼を除く世界のすべてが一瞬にして氷結してしまう…

様々なボヤキ

★美容整形の極致、整形したすべての女性を美女に生まれ変わらせた医師がボヤいた。 「ああ、もうブスがいない……」 ★ピッチャーが消える魔球を投げたと同時にキャッチャーがボヤいた。 「取れねえじゃ……」 ★ある時、宇宙人グレイが捕まり、報道番組で名をクレ…

ホラーハウス

大きな見世物小屋があった。恐ろしい感じの洋館風の屋敷だ。そのなかでモンスター達がひそひそ話をしていた。 「やい、金星人。いい隠れ家を見つけやがったなあ」 赤い顔にイボイボのある火星人が言った。 「おう、火星人。ここじゃお前を見たって誰も本物と…

宇宙人とピカソ

ある時、宇宙人が私のもとにやってきた。まったく予期しない出来事だったので、私は途方にくれてしまった。なんで宇宙人が個人的にアパートに来たの? 疑問はつきない。 役所に相談しようかと思ったけれど宇宙人が秘密にしてくれと言うのでお人好しの私は困…

チーズとネズミ

ある時一匹の鼠がチーズのかたまりを見つけました。 すぐに仲間がきて分けてくれと言いましたが、その鼠はそれが嫌でした。独り占めにしたかったのです。 そこで鼠はネコの鳴き真似をしました。とても上手だったので仲間は本物の猫が来たのかと思い一目散に…

魔法のランプ

魔法のランプから現れた魔神が言った。 「お前の望みをなんでも叶えてやる」 「はあー?」 「はあーじゃないよ、お前の望みをなんでも叶えてやると言ったんだ!」 「なんだって?」 「やい、じじい。おまえ耳が遠いのか?」 「へ? なんだって?」 「仕方がない、…

恐ろしい予感

ミツオという少年は予言者でも、超能力者でもないけれど、時々不思議な予感が胸をよぎることがあった。 ふと友人や恋人の事を考えていたら、電話があったとか、家に来たとかそう言う事がないだろうか。胸騒ぎというものを誰もが経験したことがあると思うが、…

深夜の出来事

ロバートは間近に人の気配を感じて微かに目を開けた。すると長身の目つきの悪い男が見下ろしていたから、驚いて毛布を剥いで起きようとした。 と、突然冷たい銃口がロバートの鼻先に突き付けられた。森の近くの閑散とした場所にぽつんと建つロバートの家での…

ミケランジェロの空

ミケランジェロというのは猫の名である。中二の祐二が単に毛が三毛だったので、思いつきでつけた呼びづらい名前だ。 だから、祐二はミケランジェロなんて猫を呼んだためしがなく、大抵はミケと呼んでいる。従ってこの芸術的な名前もほとんど意味をなさない。…

舞踊

すみれ色の彗星がまぶしい光輪を放った時、その少女は地上にすっくと立っていた。宇宙から来たのか、海底からきたのか、地底から来たのか、誰にもわからない。 ただその少女は愛くるしい笑顔を振りまき、金色のコスチュームを着けてリズミカルに踊っていた。…

大作家への道程

――大都会東京の片隅に鹿沼巧かぬまこうと言う名の作家志望の青年がいた。 巧は作家になる事を夢見る真面目でとても熱心な青年だった。彼は物心つく頃から漫画を読み始めたが、文学に目覚めたのは小学四年の頃で内外のミステリー小説が巧の最初の興味の対象で…

手紙

前略 ユウヤからマナへ 心から愛するマナ、 僕は突然君のもとからいなくなってしまい、とても済まないと思う。 もしかしたら君は一人暮らしの僕のあの麻布のアパートに何度も足を運んだのではないかな……。君のもとから煙のように姿を消すなんて、僕にしたら…

金の斧 パートⅡ

木こりが森で木を切っていると、手を滑らせ、斧をそばの湖に落としてしまいました。しかしそれは、わざとでした。金の斧の伝説を知っていたからです。 木こりは落とした斧の事を正直に言えば、金・銀の斧を女神がくれるのを期待していました。 するといきな…

疑問

古代ギリシャ、ポリスに一人の天文学者がいた。 しかし彼は人々から、三流と言われていた。 なぜ、彼ほど明晰で、知識多き人物が一流になれなかったのだろうか? それは、彼がひとつの疑問に固執していたからである。 その疑問とは、~太陽に最初点火したの…

金の斧

木こりが森で木を切っていると、手を滑らせ、斧を湖に落としてしまいました。 実はそれはわざとでした、金の斧の話を木こりは知っていたからです。 木こりは何度もリハーサルをして、女神が出てきたら落としたのは正直に鉄の斧ですと言いさえすれば、金と銀…

刑務所にて パートⅡ

刑の執行の時が来て、電気椅子のスイッチが入れられた。 だが、囚人は死ぬどころか、気持ちよさそうな表情。 もう一度試しても、尚も気持ちよさそうな囚人。 すると他の執行員が大声で叫んだ。 「誰だ! 電気椅子とマッサージチェアを間違えてセットしたのは…

刑務所にて

刑務所で看守と囚人が些細な事から、口論になり頭にきた看守が言った。 「おまえなんか、死刑だ。絞首刑にしてやるからな!」 囚人が答える。 「ふざけた事を言うな。俺はもともと死刑囚なんだよ!」 「……」 おしまい ※画像はO-DANからお借りしています

贈り物

緑色の宇宙人が言った。 「我々が地球人に送った、友好の贈り物は、無事に地球に着いたのかね?」 「はい」 「で、地球人の反応はどうだ?」 部下の宇宙人が答える、 「はい、報告致します。我々は地球人がタバコを好むという事実を知り、贈りました、葉巻・…

絵女房

巨勢金岡こせのかなおかは平安時代前期の宮廷画家で、何でも話によると屏風に目玉のない虎を描いたそうだ。目のないのを不服に思った他の画家が目を入れると、たちどころに屏風から躍り出た虎に食い殺されたと言う。 * * 江戸時代。あるところに絵の名人が…

招き猫

コウジの家は貧乏だった。父親はリストラに遭い現在失業中だし、母は急な病で働けず、兄弟は多いときている。 ――このままじゃ進学もできないじゃないか。なんとか裕福になる方法はないものか。コウジは日夜それを考え続けていた。 ある日コウジは夢を見た。…

妖怪 腹減り爺

これは昔、昔の話じゃ。越後の国によう、腹へり爺という妖怪が住んでおったそうなんじゃ。それでよお、その爺が村の衆をたいそう苦しめたそうじゃ。本当か嘘かは知れぬが、腹へり爺は子泣き爺の遠い親戚に当たるらしいという事じゃ。 この腹へり爺。とにかく…

アリとキリギリス

青葉が生い茂る春、熱い日差しの夏。 アリは働くフリをしていました。色々な食物を巣に運んだりして、いかにも冬に備えて食料の備蓄をしているように見せて、その実、仲間と思う存分食料を食べてしまっていたのです。 キリギリスは遊んでいました。ケセラセ…

魔術

この試験に合格しないと父がどんな顔をするか平野秀雄には予想がついていた。 今となるとろくに勉強もしないで遊んでばかりいた自分が恨めしかった。父は優秀な官僚で常にその眼は神経質な輝きを持って秀雄を睨んでいたし、代々傑出した人間ばかりを排出して…

塩乞い

ある時、日本から塩がなくなった。 『なぜなの?』と、問うても誰にも答えられなかった。 全ての料理人、調理師がこまった。もちろん一般家庭だって困った。 このとき初めて人は塩の大切さを知った。 ちょうどそこに優しそうな顔つきではあるが、ちょっと風…