発狂した宇宙人

書き溜めた短編(S&S)をビヨンドで動画化のご紹介、短編(テキスト版)の掲載その他雑記などのブログです

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

煙草

医師が難しい顔をして患者に言った。 「あなたはもう金輪際、タバコは吸わないほうがいい」 患者が心配そうな顔で医師に尋ねる。 「先生、最近息が苦しいのですがもしかして肺癌なのでしょうか?」 医師は尚も気難しい顔をして言った。 「いいえ、この前、待…

医師とロボット

ある時、ロボットが病院を受診してこう言った。 「先生、どうも体の節々が痛いんです。身体を動かすたびにギーギー、変な音までするんですよ」 医師が診察しながら答えた。 「またあなたですか、体にはちゃんと機械油を差さなきゃだめですよ。オリーブオイル…

病院にて

精神科の廊下を音を立てて駆けてきた男。 男は慌てふためいて順番も待たずに診察室のドアを勢いよく開けた。 看護師と医師が驚いた様子で男に言った。 「いったいどうしたというのです?」 男が大きな声で答えた。 「先生、それが分かるくらいなら精神科なん…

緊急手術

緊急手術の説明を受けた患者が言った。 「先生、ずいぶん手術代が高いですねえ。何とかなりませんか?」 「でも、この手術相応の代金ですがねえ」 少し困った顔で医師が答えると患者が言った。 「それじゃあ先生、手術はやめときます。で、今ある貯えは葬式…

悩み

「熊さん。突然だけど変な質問していい?」 「なんだい、与太郎、どうかしたかい?」 「熊さんに悩みはある?」 「ええっ? まあ、ない事もねえな」 「そうか、そりゃ良かったね」 「別によかないだろう」 「おいら悩みが特にないんだけど……」 「お前は幸せ…

麻酔

外科医が神妙な顔で患者に言った。 「これから手術をするので麻酔を使いますが、二種類の麻酔があります。一つは手術中痛みを伴いますが術後には殆ど痛みを感じなくなります。もう一つは手術中まったく痛みを感じないのですが、手術後かなりの痛みを感じます…

葬儀にて

おじさんの葬儀に参列した熊さんが考え深げに言った。 「いやあ、おじさん逝ってしまったんだね。しかし人の命は儚いねえ」 そこに口をはさんだのが与太郎だ。 「熊さん、おじさん可哀想だね。墓がないの?」 「与太郎、墓はあるよ!」 ……?! おしまい ※画…

良い知らせと悪い知らせ パートⅡ

看守が殺人罪で服役中の囚人に言った。 「おまえが撃ち殺したはずの男が、奇跡的に息を吹き返したらしいぞ!」 そう言われた囚人が驚いて声を上げた 「ええっ! あいつ死んでいなかったのか? そうなのか、まあいいや。俺の罪も少し免除されるだろうな、殺人…

守護霊

熊さんの前にふらりと現れた八っつぁん。 「どうしたの? 八っつぁん。なんだか浮かない顔だね」 「それがよお、熊さん。俺、評判の霊能者に守護霊を霊視してもらったんだけどさ」 「ああ、今評判の守護霊が見えるっていう霊能者の先生か」 「そうだよ」 「…

職業病

グレーの制服の男が上司に向かって言った。 「最近、気分が沈みがちで仕事に力が入らないんです。どうしたら良いのでしょう?」 上司が答えた。 「それは君、職業病だろうな」 「職業病?」 「そうだ。潜水艦の乗組員は体も心もいつも沈みがちなんだよ」 「……

領空侵犯

ある時、隣国の戦闘機が我が国の空域を侵犯した。 事件だ。早速、航空無線により警告が発せられた。 「警告します! すみやかに空域から出なさい。繰り返します、すみやかに我が国の空域から出て行ってください」 返事が返ってきた。 「領空侵犯する気はあり…

落ちる

ニュースを見た与太郎が言った。 「大変だ、熊さん。いきなり道路が陥没して穴に落ちた人が怪我したんだって!」 「そりあ、災難だね。落ちると言えば俺の息子も試験に落ちやがった」 「そうなの……」 「それに時短の影響で、居酒屋でバイトしているカミさん…

へんな墓参り

男が墓参りをしていると墓から変な歌声が聞こえてきた。 ♬ 私のお墓の前で 泣かないでください~ そこに私はいません~ 眠ってなんかいません ♪ ♪千の風になって~♫ 男はその歌声を聞いて言った。 「お父さん、あなたは風になったというのですか?」 すると…

へんな捕り物

時は江戸時代。極悪人がとうとう追い詰められた。 追い詰めたのは腕のいい町方同心。極悪人はついに観念して言った。 「だんな、参りました。観念しましたから俺をお縄にしてください」 でも、同心は刀を振りかざしたまま言った。 「残念だが、お前の命はな…

変装

変装の得意な銀行強盗の常習犯がとうとう捕まった。 捕まえた警官の前で常習犯が不思議そうに言った。 「しかし、俺の変装をよく見破りましたね。あんたはさぞ優秀な警官なんでしょうね」 警官が答えた。 「私が優秀なんじゃないよ。おまえがドジなんだ。な…

神様と悪魔

ある時、悪魔が神の前に現れてこう言った。 「やい、神。今日はお前の信者を10人まとめて不幸にしてやった。ざまあ見やがれ!!」 それを聞いた神は意外なほど落ち着いて答えた。 「良くやってくれました。あなたが人を不幸にすればするほど私の信者は増えて…

アーティスト達

インテリ風の男が本を持って言った。 「僕はこう見えても小説を書いて飯を食っているんだ」 もう一人も笑いながらこう言う。 「私は画家でね。この絵筆で飯を食ってきたんだ」 そこに割り込んだのが与太郎だ。 「みなさん凄いね。おいらは箸と茶碗でしか飯は…

スーパーマン

子供の目の前をお父さんが飛んで行った。 それを見た男の子は驚きながら言った。 「パパ! 凄いよ、パパが空を飛べるなんて思ってもいなかった。本当はスーパーマンだったんだね!!」 宙を舞いながらお父さんが答えた。 「違うんだ。母さんがワンダーウーマ…

異常気象

ニュースを見た与太郎が驚いて言った。 「八っつぁん、大変だよ、なんでもゴリラが空から降ってきたらしいよ!」 「ゴ、ゴリラだ。そんなばかな事ってあるかい? 与太郎」 「異常気象だね。これをゴリラ豪雨と呼ぶんだってさ!」 「……?! 気象庁に座布団三…

換気

乗客の紳士が立ち上がって言った。 「ずっと換気していないみたいだけど、今の時期は時々窓を開けて換気しなきゃダメでしょ」 乗務員が答えた。 「申し訳ありませんが、お客様。旅客機の窓を開ける事はできません」 ……?! おしまい ※画像は「いらすとや」か…

忠告

不老不死の妙薬をついに完成させた博士。 博士は一躍有名人だ。すると、有頂天の博士に娘が忠告した。 「ねえ、パパ、もし若い娘と再婚したかったら、自分でその薬を飲まないほうがいいわよ」 「……?!」 おしまい ※画像は「いらすとや」からお借りしています

良い知らせと悪い知らせ

収監されているスパイのもとに看守がやってきてこう言った。 「おまえに良い知らせと、悪い知らせがある。どっちから先に聞きたい?」 囚人が答えた。 「良い知らせからお願いします」 「病気がちなおまえに不老不死の妙薬を与える指示が出たんだ」 「で、悪…

ワクチン

「なあ、与太郎」 「どうしたの? 熊さん」 「おまえ、ワクチン打ったのか?」 「おいら打たない事に決めたよ」 「おまえ、まさかワクチン否定派?」 「そういう訳じゃないけど、わからないからコインの裏表で決めたんだ」 「そうなのか? 与太郎、ずいぶん…

日曜大工

与太郎がノコギリを持って木材を切っている。そこにやって来たのが熊さん。 「あれ? 与太郎ノコギリなんか持ってどうしたの?」 「日曜大工だよ、棚をつくるのを親に頼まれたんだ」 「そうかい、感心だね」 「熊さん、でもこのノコギリぜんぜん切れなくて困…

推理小説

「与太郎、八っつぁんに聞いたけど、最近、おまえ読書家になったんだって?」 「ああ、そうなんだ。熊さん」 「へえ、で、どんな本読むんだよ?」 「推理小説だね」 「ほう」 「自慢じゃないけど、おいら、2~3ページ読んだだけで犯人が分かるよ」 「ほう、…

流行語

「熊さん、去年の流行語大賞なんだか知ってる?」 「さあ、確か三密じゃなかったかな? 与太郎」 「そうだね。熊さん。じゃあ、妖怪の国の不動の流行語はなんだか知ってる?」 「妖怪の国だ? そんなもん知るわけないだろう。与太郎」 「~はやく人間になり…

蘇生

優秀な博士が死者を蘇生させる薬を発明した。あえて名付けるならゾンビ薬とでも言おうか? 博士は助手に言った。 「君、どこかで死体を調達できないかな?」 助手は困った顔で答えた。 「それは無理でしょ、法に触れるんじゃないですか?」 すると考えて博士…

パトロール中警官が不審な男を見つけて職務質問した。 色々、訊いているうちに男が切れて怒鳴った。 「やい、俺はなにもしてねえよ! いい加減にしねえと撃ち殺すぞ!」 警官は驚いたが落ち着いて言った。 「おまえを銃刀法違反で逮捕する!」 しかし男は笑…

地獄の門

地獄の視察に来た二人の男が門から地獄に入ろうとすると、恐ろしい赤鬼が出てきて行く手を阻んだ。 鬼はこう言うのだった。 「門を入るなら何か、面白い話を俺様に聞かせろ。その話が面白かったら通してやる」 二人の視察人は少し困ったが、一人が懐からメモ…