発狂した宇宙人

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死について

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 私ももう高齢者の括りなので、死について重くならない程度に書いてみたいと思います。

  まず、私たちは他人の死については五感で感じることが出来るのですが、自分の死については五感で感じる事が出来ない。

 たとえ第六感が働いたとしてもそれは予感でしかなく、死そのものを感じ取ることは出来ない。

 それが何を意味するのかというと自分にとって死は存在しないという事です。

 だから無いものを恐れても仕方がない。恐れるのはそこに向かう過程で起こるであろう肉体の劣化であり、それに伴う苦痛です。そう思います。

 

 では死についての名言、名ゼリフを三つほど紹介しながら私なりの解釈を書いてみたいと思います。

 

  ①「死について考える(対決する)ことは、いかに生きるかを考える事なんだ」

 このセリフは映画スタートレック「カーンの逆襲」の冒頭に出てくるカーク船長の名ゼリフでかなり好きな言葉です。

 このセリフだけでスタートレックが薄っぺらなSF映画ではないことが窺えるようです。

 死を考えることはとても大事だ。なぜなら死を考えることは生きることを考えることに他ならないからだ。そういう意味だと思います。

 冷静な洞察と覚悟みたいなものが読み取れます。かっこいいセリフです。

 

 ②「死にたいってことは生きたいって事よ」

 これは昔知り合った女性が吐いた言葉で、いまでも印象深く心に残っています。

 

 この世界に本当に死にたい人なんているのでしょうか?

 死にたい理由には大きく分けて二通りあると思います。

  • 生きていること自体が苦痛を伴う時。
  • 今置かれた状況が自分の望む状況ではない時。

 

 一の状況は同情すべきもので病気などがその典型でしょう。問題は二の場合です。これは今の状況が納得できないから死にたいということです。

 

 例えば受験で失敗したから死にたい。失恋したから死にたい。等々沢山あります。

 これは真に死にたいのではない。成功して、或いは良いかたちで生きたいの裏返しです。つまり根底には生に対する執着があるのです。それが強いからこそ死にたいのです。

 一種の理想主義的なものが人間を死に追いやるのです。しかしそれこそが、まさに人間的だと思います。

 

 

  ③「彼はただここにいないというだけだ」

 このセリフはロックバンド「ローリングストーンズ」のメンバーブライアン・ジョーンズが27歳の若さで亡くなった時に、記者にインタビューされたメンバーが言った言葉。

 メンバーの誰が言ったのか残念ながら記憶にありません。当時の人気ロックバンドのセリフだけに、ちょっと気障にも聞こえますが、その時はなにかにハッと気づかされたという感想です。

 死んだということは周りの人間から見ればここにいないだけ……。

 つまりここにいなくても記憶には残っている。心の中にはいつまでも存在している。という意味になると思います。

 

 ◇ ◇

 

 やがて死ぬことを知るということは、我々人間の固有な不幸であり、

 それは慰めとなるものがまったくないほどに惨めな状態なのである。

 

 パスカルはこう言っています。

 

 だからこそ死の恐怖から逃れる為に人には気晴らしが必要であり、それは、旅行やスポーツ、その他あらゆる趣味で気を紛らわせている。そして仕事さえもその範疇に入る。

 こんなふうにパスカルは捉えています。

 

 

 死とは何か…。正直解りません。

 しかし生物学的にみれば個より、種の存続を優先するのだと思います。これは至極当然な話です。同じ個がいつまでも生きていたら進歩がありません。

 

 今後人間の体の各パーツが製造され、交換可能になりますでしょうし、脳だってその情報をCPUに保存してしまえば不死と言えるでしょう。

 

 そうなったとき今の世界は根底から変わります。どう変わるかははっきりわかりません。人の住みよい世界になってくれれば良いのですが。

 

                                                     

              ※画像はO-DANからお借りしています