発狂した宇宙人

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職業について

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 人は生まれながらにすべての職業に向いている。

 そして人がどんな職業につくかは偶然によって決定される。

 

 パンセの中でパスカルはこう語っています。

 なんだか励まされたような、励まされないような微妙なニュアンスです。人生において職業はとても大切な意味を持ち、人生を左右すると言っていいと思います。

 

 人は自分の意志によって職業を決定していると思いがちですが実はそうでもない。

 

 言うまでもなく職業の選択には親や周りの環境に多大な影響を受けます。また若いころは自分が何に向いているか悩んだりもします。

 若い頃から自分のなりたいものを明確に心に決めている人は僅かです。

 

 また『蛙の子は蛙』ということわざも確かに核心をついています。

 

 僭越ながら私の個人的な体験を書かせてもらいますと、職業は個人の意思によっても決定される事が十分にあるという事。

 私は若い頃どちらかといえば内向的な人間でした。人前でしゃべるのが嫌で、その上赤面症で無口なほうでした。

 それで技術職についたのですが、どうも仕事が面白くありません。

 その当時会社に打ち合わせ等に営業に方が出入りしていたのですが、その営業の方がとても明るく、話も面白くとても生き生きとして感じられました。

 

 そしてある時(その当時は親と同居)親に営業の仕事がやってみたいと言ってみたところ

 父がこう言ったのです。「お前みたいな人間に営業なんてできるわけがない」と。

 今考えてみなすと親なりに私のことを考えて忠告してくれたのかも知れませんが、その時は強い反発と憤りを感じました。

 そして私は無謀にも会社を辞め、不動産販売会社の営業員になったのです。これはもう意地だけでした。

 なぜ不動産かというと営業成績でランク付けがされ、わかり易かったからです。目指したのはもちろん営業でのトップでした。

 

 その時の私は毎日21時まで仕事をして休日(休日は不動産のチラシ配りかテレアポをしていた)も休みませんでした。

 以前の仕事に比べて人間関係も厳しかったし、先輩も怖かった。しかし私にはどうあってもトップになるという意思がありました。

 そして入社二年目にしてトップになりました。壁にかかる自分の木の名札がトップの位置に置かれたのです。しかしトップに立った途端に力が萎え(抜かれるのが怖いというのもあった)

 結局すぐに退職してしまったのですが。

(今考えると、不動産販売の仕事が好きだったかどうか分かりません)

 

 よく体が生まれつき弱い人が、奮起してオリンピックの選手になったとかありますよね。

 

 人は生まれながらにすべての職業に向いている。

 どうなのでしょうか? この言葉はある意味真実だと思いますが。

 

 では、人がどんな職業につくかは偶然によって決定される。

 とはどういうことでしょうか?

 私の場合を例にとるなら、魅力的な営業マンを知ったという事、そして父の言葉は偶然といえば偶然でそれに影響された。という事になると思います。

 

 医者の子が医者になったり、ミュージシャンの子がミュージシャンになるのも偶然としてとらえられます。これは職業も、貧富の差も遺伝するという解釈もできます。

 どこにいつ生まれたかがそもそも偶然で、そうなると運命論に近くなりますが。

 どんな職業についても真剣に前向きに取り組めば楽しくもなるでしょうし、後ろむきだと辛いものになると私は思っています。

 

 また話が少し変わりますが私は若いころ仕事は生活の為にするものだと思っていました。

 だから高収入を追い求め、自分の為に仕事をしてきましたが、仕事の意義はそれだけではありません。人は社会をつくります。一人では何もできません。

 結局、個人の幸福は他者の存在なしにはあり得ない。

 恥ずかしながら最近そう気づきました。

 

                    

 時代も変わり、職業も変化し続けています。

 余談ですが最近はインターネットビジネスのCM等がネット上に溢れています。この風潮で感じるのは結局一番儲かっているのは、そのCMを挙げる側だって事です。

 

 ネットでもリアルでも成功する人は成功します。その逆もまた真なりです。

 

 なにはともあれ、世の仕事は楽じゃないよねってお話でした。

 

 

 

 

 

                ※画像はO-DANからお借りしています