得体の知れない疫病ウイルスの流行。異常気象の到来。天変地異。
そして核戦争と続いて人類はついに滅びようとしていた。
荒涼と砂漠化した元大都会には鼠一匹生きてはいなかった。
そして地球最後の人間が死んでしまうと、もはや全ての概念が消え失せた。人間の歴史も軌跡も何もかもを認識するものが存在しなくなった。
陽だまりに奇形の蜥蜴(トカゲ)がいた。蜥蜴は汚染された大気でも平気だった。
そして砂漠みたいな大地を縦横無尽に走り回った。
ふと蜥蜴が動きを止めて空を見上げた。蜥蜴の感じた熱と光、大気。
それこそが世界のすべてとなった。
おしまい
※画像はO-DANからお借りしています