発狂した宇宙人

書き溜めた短編(S&S)をビヨンドで動画化のご紹介、短編(テキスト版)の掲載その他雑記などのブログです

地球最後の……

f:id:Space2020:20201229192610j:plain

 

 ――得体の知れない疫病ウイルスの流行。天変地異。そして核戦争と続いて人類はついに滅びた。

 

 砂漠化した元大都会には鼠一匹生きてはいなかった。

 

 しかし高層ビルの瓦礫の中からふらりと一人の男が立ち上がった。真っ黒な顔をしていた。服は焼け焦げていた。一歩、二歩と歩くうちに男は少しづつ生気を取り戻していった。

 

「俺は生きてるぞ。みんな死んじまったがこの俺はこうして生きてるんだ!」

 

 男は言葉をしぼり出すようにそう言った。

 

「俺は…… 俺は地球最後の男だ」

 

 すると瓦礫の中から又ひとり人間が立ち上がった。

 

「あたしだって生きてるわ」

 

 ボロボロの服の女は力強くそう言い放った。

 

「おお、君も生きていたのか」

 

 嬉しそうに男が言った。

 

「君は、地球最後の女ってわけか」

 

 その人間が答えた。

 

「いいえ、あたしは女じゃないの」

 

 男は首をかしげて言った。

 

「……というと、君はまさか。おねえ?」

 

「いやねえ、地球最後のジェンダーって言ってよ!」

 

「??!!」

 

             おしまい

 

 

                  ※画像はO-DANからお借りしています